水曜日, 10月 31, 2007

槍ヶ岳登山 その8

まずは左の写真。天狗池からの逆さ槍。定番中の定番写真だ。少しアンダーめに補正した。美しさは見ての通り。東鎌尾根の上に若干雲が見えるが、スーパー快晴の中、この景色の中にいたこと、そして写真に残せたことに感謝したい。


さて、いろいろあった槍ヶ岳登山だが、遂に最終日をむかえた(って2泊だけど)。夕べは頭痛と吐き気に苦しみながらもやがて寝てしまった。夜中に窓を叩く風の音で目が覚めたが、あれこれ考える余裕もなく、まあ、明日も晴れだろう、などと根拠のない楽観の中で再び目を閉じるのだった。

4時頃、自炊のために上がってきた人たちの話し声や雑音で目が覚めた。
頭痛と吐き気は治っていた。
しばらくして、狭い寝床でストレッチなどをしてから自炊場に向かった。
そういえば昨日は膝が痛かったが、すっかり治っている。まあ、今日は下るだけだから多少ガタがきていてもごまかせそうだけど。
自炊の人によれば小屋の朝食の時間に合わせていたら御来光を見逃してしまうという。5時半頃が食事だから確かにそうだ。ま、この人は大喰岳から槍が燃える姿を見たいらしく、それなら5時には出発しないとならないから朝食なんて待っていられないか。
この後知ることになるが、この山荘にいると槍が燃えている姿を見ることができない。燃えている槍と同一線上にいるからで、つまり自分も槍と一緒に燃えてしまうのだ。

さて、吉祥丸も朝食を取ることにする。ところがこれが大失敗した。雑炊のレトルトに味付けにと思ってお茶漬けの元みたいなのを一袋入れたのがいけなかった。塩辛くなって食べられたものじゃないのだ。
結局これも荷物となった。

食欲もそんなに無かったので、昼飯というか行動食のレトルトチキンライスにお湯を入れ、出発の準備にかかった。時間は5時20分頃かな。
山荘でポカリスエット(250mlで300円)を買って水で薄めた。小屋の兄ちゃんに昨夜の寝床の変更の礼を言ってザックを背負うと、外に出て、上の写真のような御来光を堪能した後、いよいよ下山に取りかかった(5時53分)。

いったん下山になるとなんかあっけない。 昨日あれほど苦労して登った坂をあっという間に下ってしまう。みるみるうちに高度が下がって、振り向くと小屋が遠くになってしまっていた。

下っているのは吉祥丸ともう1人くらい。適度な間隔があるので、ほぼ一人でカールを独占しての下りだ。
頂上に立ったことの達成感もあり、今日中には家族に会えることの喜びもあり、そして空はどこまでも青く、膝も痛くない。なんかこの上ない充実感で一杯だった。
何度も槍を振り返りながら休みを取らず下り続けた。

坊主の岩小屋で合掌。無事登頂できたことを感謝した。そしてとうとう槍とのお別れだ。カールを横切って方向が変わると槍が姿を消すことになる。ここでも何度も振り返って感謝の言葉と別れの言葉を口にした。

天狗原分岐が近づくとまだ7時という事もあり、ちょっと色気が出てきた。昨日行けなかった天狗池を往復できるのではと考えたのだ。でも、どのくらいかかるものなのかわからなかった。往復50分とどこかのサイトには書いてあったような気もするけど、ちょっと不安だった。
カールを横切った向こう側というのは知っている。が、カールにはモレーンが2本くらいあって、そのモレーンの裏側にあるのか、はたまた、さらに向こうに見える横尾尾根の奥に行かねばならないのかがわからなかったのだ。

ちょうど山慣れたような人が降りてきたので、天狗池はどの方向でどのくらいかかるのか聞いてみた。すると昨日行っていたようで30分くらいかな、と言う。場所はあの森の奥、と指を差すのだが、どうにもわからない。
でもまあ、時間もあることだし体調もいいので行ってみることにした。結果は…行って良かったと思う。逆さ槍の映る天狗池ってどんなところだろうってずっと思っていたし、いい写真も残せたし。ただ、何度も行くようなところじゃないかな。しかも行程がちょっと堪えた。ザックをデポして空身で行ったにもかかわらず、へたった。
時間は往復50分。池での撮影に10分、計1時間の散歩である。が、標高差が200mあった^^;
結局、モレーンを越えて、さらに森の中を登山(!?)することになるのである。おまけに道を間違えて浮き石だらけの岩稜帯に入ってしまって往生した。
猿は近くに出てくるし、ストックで追い払いながらまだ着かないのか、まだ登るのか、って独り言を叫びながら?登っていった。

ようやく天狗原に着いて、岩の合間をちょっと行くと、眼下に池があった。それが上の写真。最初に見たときは、え? あれがそうなの、って拍子抜けしてしまった。なぜかもっと立派な池を想像していたのだ。実際の天狗池はよくいえば質素で素朴、そして健気。悪く言えば貧相、ただの水たまり? だった。
しかも進行方向の横に現われないで下に出てくるところがいやらしい^^; なぜなら逆さ槍を撮るためにはさらに池の畔にまで下らなければならないからだ。でも下りました。ここまできたんだからしょうがない。景色は最高だったけど。そういえば、ここにくるまでにいったんお別れした槍に再び会えた。もちろんここでも槍が見えている。

SDカードの容量の残りが少なく4枚しか取れなかったが、池には吉祥丸1人。何とも贅沢な時間を過ごしたのだった。

帰りは下りなので楽だった。道も間違えなかったし。途中で何組か空身の人とすれ違った。随分下ったところで、ストックではなく杖ではないか、と思えるような老婦がよろよろと力なさげに岩を登ってきて「まだでしょうか」と聞く。正直、よくこのおばあさんがここまで来れたな、と思った(連れはいたが)。それほどよろよろだったのだ。しかも、その場所からは樹林帯の登りが待っている。でも、まだまだありますよ、とは言えず、もうちょっとですかねえ、でもとってもきれいでしたよ、と励ました。あのおばあさん、池に行けたのだろうか。行けたとしても池まで下れたのか。いやいや、池まで行けたとしてもその後どうしたんだろう。肩まで登ったのか。それとも槍沢ロッジまで行ったのか。大丈夫だったろうか。

カールを横切る際に槍と最後のお別れをして、デポしてあった地点に戻ったのが8時17分。再び登山道に戻りテントを置いてあるババ平まで一気に下るのだった。

あと1回で終わる予定^^;